わたしが利他主義を信じられるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)

・まえがき

 『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)(以下わたなれ)』は素晴らしい作品だ。ハイテンションコメディでも嫌味がなくギャグの水準も高いし、甘織れな子のビルドゥングスロマンとしても素晴らしい完成度を誇る。

 私が1番好きなのは6、7巻の遥奈編なのだが、しかし読んでいて唯一引っかかりを覚えたのもこの部分であった。それはれな子が「利他主義を信じきれていないのではないか?」という違和感で、しかもそれが『わたなれ』に通底する重要なテーマだと思えたからだ。

・れな子の思い込み

 遥奈編では「私は妹の不登校に如何に踏み込むべきか、あるいは自分が踏み込んでもいいものなのか」という逡巡が繰り返される。そこでれな子が最終的に出した結論はこうであった。

遥奈の未来が、これからが、ずっと、幸せであってほしい。なぜならーー同じ家に住み、これからもわたしの少し後ろを歩いて生きていく妹が、笑っていてくれるかどうかは、わたし自身の人生の幸福度にあまりにも大きな影響を与えるから。

ー家族愛や姉妹愛と呼ばれるものの正体が、わたしにとって自己愛だったというのは、なんか、あんまりよくない結論な気がするけども・・・・・・

 

わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?) 7 (ダッシュエックス文庫 175p)

 これは正に「他人の為に見える行為でも、根源的には自己の利益を追求する行為でしかない」という『心理的利己主義』を内面化した結果に見える。元々れな子は極端に自分に自信がなく、「純粋な利他心からの行動」を信じられていない。自分が無償の厚意をもらえるような(もらってもいい)人間だと考えられないのだ。例えば紫陽花との恋人関係を進めてく上でも、それを確認出来る部分は多々ある。

「どうして、わたし?」(自分を好きになった理由を疑問に思い)

ことさら理由を聞きたがるのは、自分に自信がなさすぎるから。どうせ聞いたところで、納得なんて出来ないくせに。

 

わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)4 (ダッシュエックス文庫 94p)

 

丙はこれまでの人生、曲がりくねりながら生きてきたので、なによりも誰よりも、自分自身への信頼がいちばんない!(中略)わたしがサボらずにがんばり、その上で、ちゃんとふたりが恋人として満ち足りた幸せを手に入れる。それが、行動で示すってことの意味。それが、正しいがんばり方。

(中略)

ふたりの反応はむしろ冷ややかだった。(中略)「だからね、いちばん大切なのは、れなちゃんがれなちゃんだってことなの。それだけでもう、百点満点・・・・・・ううん、点数なんてつけられないよ」

 

わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)5 (ダッシュエックス文庫 27〜30p)

れな子の返報の理屈は強迫的ですらあり、こうして周りから咎められることもある。

 ここで当然の疑問として「これはれな子が成長途中が故の考え方なのでは」ということが浮かぶ。「それが正しい」というのはかなり強い記述であり、思い込みを表現してるように見える。だがやはり7巻の遥奈を説得する際の決意は最終的な結論部分であり、ここが伏線となって展開していくことはないように思う。

 ただしこの結論とは別に、後半になればなるほどれな子は自然と人の善意を受け取れる(頼れる)ようになっているという部分に注意したい。7巻の決着部分ではクインテットの4人をそれぞれ頼っていたし、8巻の終幕でも紗月を説得するのに紫陽花が大活躍し、つまり他者"が問題の解決に大きく寄与しているのだ。れな子が交際を始めるまでの1巻〜4巻がれな子が他者に与える物語だったことを考えると、これはあまりにも見事な構成と言えるだろう。実際に私はこの場面でいたく感動した。「れな子が他者の善意を受け取れるようになる」というテーマは確実に存在するのだ。しかしだからこそ7巻の結論部分だけはこの展開と相反するものに思え、私は違和感を覚えた。

・れな子の可能性

 人間関係はある場面では『交換関係』と『共同関係』に分類出来る。親密さの浅い『交換関係』では他者が自分にどれだけ貢献したかが考慮される。友人関係などの親密さの深い『共同関係』ではそういった損得勘定が薄い(ないわけではない)。更に『共同関係』でも、友人間より家族間では交換のバランスはより崩れ一方的な貢献が可能になるという。れな子はクインテットと共同関係の途上にあると言えるだろう。

 『わたなれ』の物語はどんどん苛烈になってきている。私が憂慮しているのはれな子が不断の努力で自信を手に入れ、自信を手に入れること"のみ"で人の利他心を受け入れられるようになるという展開だ。れな子の過剰な努力への執着心は、先にも見たように紫陽花、真唯からも違和感の目を向けられることもあった。物語内でも憂慮されてたはずなのである。

 哲学者のトマス・ネーゲルは自身も他者も人間の中の単なる1人に過ぎないということを理解すれば、人は同じように善意の対象になることができ利他主義が可能になると指摘した。れな子の周りには素晴らしい他人が沢山いて、考え方次第で既に自分は善意を受け取ってもいいんだということを信じてほしい。

  人間の行為の動機については今も様々な議論があり、もちろん心理的利己主義が間違っているとは言えないし悪いわけでもない。これはただの私の好みであり、この物語は人の善良さに賭けてほしいと思っただけだ。そしてれな子が他者に甘えることが出来るようなり、5人がより深い絆で結ばれることをひたすらに願うばかりである。

雑記 2025年秋アニメ感想

 

 9、10月に旅行とか追ってるゲームの発売日が集中したせいでアニメ視聴サイクルが完全に破壊され、溜まっていったアニメが消化不良を起こし本数はもちろん、集中したアニメ視聴が全く出来なかった。アニメは計画的に見よう。

 

以下感想

 

 

・永遠のユウグレ

 科学を純粋に信奉してた天才が取り返しのつかない過ちを犯しそれに対応しようとしたけどまた失敗して、人生の最後に自分の分身/家族のようなアンドロイドに悲願の恋愛を託す...という物語背景と、そのアンドロイドたちによるSFを絡めた恋愛ビルドゥングスロマンというプロットはかなり良かった。画面も劇伴もよくて、なんだかんだ今期では1番夢中になったかも。SF部分は酷かったんだけど、まあスタッフも興味なさそうだし...。

 舞台装置はめちゃくちゃなのに最終的には妙なまとまりがあって、特にこの作品の結論であった「新しい関係の模索」という部分が面白かったのでそれについて少し考えてみたい。

 ポリアモリー的なものも含むエルシーと、モノガミー的な婚姻から脱出した新しい3人の関係というものを想像するのは難しい。物語の着地点を考えてみるとするなら、「自分達で決定することが大事なのだから、既存の形に落ち着いても問題ない」というところが1つ綺麗なところだろう。これはトワサとオリジナルアキラの願いとも合致するし納得がいく。しかし敢えて新しい形を考えるとするならば、両親を失くしたアモルは恋人ではなく家族を求めていたのではないか、という部分が重要になるだろう。アキラとユウグレは2人で婚姻関係を結びたいのに対し、アモルは3人でエルシーすることを望んでいた。最終的に3人は3人でいることを望むようになるが、アキラはアモルに対しての恋愛感情は薄いし、ユウグレとアモルは同性愛者ではないのでそこに恋は発生しない。それでも彼ら3人を唯一結びつけられるとすればそれは疑似家族のような関係だ。長い間一緒に劇的な経験をしてきたという事実が、恋愛感情に依らない親密さを可能にさせる。両親がいないという点でいえばアキラとユウグレも当てはまるし、家族を失った3人がトワサたちの願いである家族をやっていくというのは、綺麗で納得のいく答えになるのではないだろうか。

 

 

・笑顔のたえない職場です。

 人のダメさは自然なものとして馴染んでいて、相談相手になってくれる人にもまた相談相手がいて...という円環構造が非常によく、くずしろ先生はやはりすごい。

 中盤からは漫画家仲間3人を中心としたコメディが多くなるんだけど、夏吉さん、伊藤美来さん、小林ゆうさんの演技がめちゃくちゃマッチしててよかった。

 

 

・友達の妹が俺にだけウザい

 主人公はほぼ無謬の存在で、御高説により未熟なヒロインたちを導き惚れされるが、自分に向けられた恋心にだけは疎い...という何か懐かしい味のするラブコメ

 

 

ウマ娘 シンデレラグレイ 2クール目

 膨大な史実の何を取捨選択するのか、少ない尺でサブキャラを如何に魅力的に魅せるかが抜群に上手い。

 

 

・最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか

 主人公の痛快さは魅力的だったけど、キャラや設定の面白さに比べて本筋は普通の戦記物だな...というもったいなさもあった。

 

 

・悪食令嬢と吸血公爵

 主人公は世界の為に魔物の食用化の道を模索してた母の研究を受け継いだ故周りから避けられていたが、その研究の成果をもって食を媒介に周りに認められて行き...といういい話。

 女性向けなろう文化はよく知らないんだけど、非転生悪役令嬢もの(?)はコンセプトから強いものが多くて面白い。

 

 

・Let's Play クエストだらけのマイライフ

 原作は北米のコミックでアニメ放送と同時に翻訳されたという、珍しい経緯で立ち上がった作品。

 直裁的に説明しすぎだったり洗練されてない演出だったり、野暮ったい部分も沢山あるんだけど「人間関係も人生すらも勇気を持って踏み出せば痛みもあるけど良いことがある」という部分に終始するストーリーは好感が持てた。

 神経症、対人不安、SNSなどへの問題意識がアメリカっぽいなぁと感じた。

 

 

・私を喰べたい、ひとでなし

 家族失って自殺願望をもった人に対して言葉は力を持っておらず、周りが楽しそうにするところにほんの一筋の光明があるという部分に説得力があった。

 なにより良かったのは石川由依さんの演技で、あまり見ないタイプのキャラクターだったけど非常に上手かった。

 

 

・ある日、お姫様になってしまった件について

 原作では転生だった部分が予知夢に変更されており(思い切った変更だ...)、これはこれでアタナシアの年相応の可愛さが出ておりまあアリ。魔法や立ちふるまいの魅せ方が抜群に上手く、ひたすら可愛い宮廷ものになっていた。

 

 

・千歳くんはラムネ瓶のなか

 相手の深みにズケズケと踏み込んでしまうことや偽善などのヒーロー性への疑念や葛藤がテーマだと思うんだけど、エピソード群とのかみ合わせが悪かったり、そもそも千歳くんのやることはだいたい(作中的には)上手くいくので問いかけとして機能してるのかよくわからなかったり、常に「これは何をしてるんだろう...」という気持ちで見てた。

 2つ目のエピソードはストーカー男の処女幻想と暴力男に対抗するヒロインという問い立てで、まあテーマ自体はアニメやラノベでは珍しく過程にも光るものはあったけど、やはり乗ることは出来なかった...。千歳くんがレイプまがいのことをして悠月を立ち直せるシーンはアプローチがめちゃくちゃだし、一応真面目なシーンなのに画面はサービスシーンになっていたのがチグハグでバカみたいだった。子供だけで何かを解決するフィクションでは避けて通れない「何故警察や大人に頼らないのか」という問題にも明確な筋立てはなく説得力にかけていた。そして根本的にダメだと思ったのは、優秀で何でも出来てしまいヒロインの問題を次々解決していき恋仲になっていくという紋切り型のラブコメと、ヒロインの自律というテーマはずっと違和感が拭いきれず、この2つを合わせるのは最初からコンセプトに無理があったのではないかと思う。

 1つ目の不登校のエピソードでもそうだったけどやりたいことに対して、台詞回しや展開など細々とした部分の描写力が追いついてなかったな...という印象。

 

 

・SI-VIS: The Sound of Heroes

 女性向けアイドルものみたいなノリの丸戸脚本アニメが巨大資本により日曜朝に届けられるという謎の企画。話も動いてきて面白そうなので継続して見てます。

 

 

・東島丹三郎は仮面ライダーになりたい

 40代の無職が叶うはずのない夢を追い続けてたら遂に叶うシュチュエーションが到来し...という導入に凄く惹かれたけど、思ったより普通のパロディバトル漫画に落ち着いたな...といった感じ。

 ギャグやお色気シーンを初め劇伴以外の全てが古臭く(まあ題材を考えると意図的かもしれないけど)中々厳しいものあるけど人気作家なだけあって話は面白いのでこれも継続して見てます。

 

 

・矢野くんの普通の日々

変人見守り系ラブコメ(というジャンルがあると勝手に思ってる 例:野崎くん 湯神くんなど)にしてはギャグがかなり薄味なんだけど、おおむね好感の持てる話だった。

 吉田さんのグループは最近のラブコメや日常系にありがちな変さも受容する優しい、ある種の理想的なコミュニティなんだけど、普通の人である岡本さんが投入されるとそのおかしさが浮き彫りになるみたいな構造が面白かった(多分意図的ではないだろうけど)。

 それにしても岡本さんが可愛すぎる......。

 

・機械じかけのマリー

 この漫画を西村純二監督でアニメ化しようと言い出した人は天才

 

 

・ワンピース エッグヘッド編

 決めるシーンはしっかり決まっていてよかったね。アクションが面白くないのは原作の問題でまあ手がつけようがないよねという感じ。

 

 

 

・その他見れなかったもの 見たいもの

 

・父は英雄、母は精霊、娘の私は転生者。

 1話を見て「これはヤバい...見届けなくては」と思ったけど時間が足りず断念。案の定ヤバかったみたいなので気になる。

 

・顔に出ない柏田さんと顔に出る太田くん

 太田くんが柏田さんをいじめるアニメ。なんだかんだ楽しんだ人が多いみたいなので続きが気になってる。

 

・無職の英雄 〜別にスキルなんか要らなかったんだが〜

 途中まで見てたはずなのに記憶がない。

 

・キミと越えて恋になる

 1話が好感触だったものの時間が足りず。わりとバカっぽいアニメだったみたいで気になってる。

 

・太陽よりも眩しい星 

 これも1話が好感触だったものの冬までに間に合わず......。評判はかなり良さそうなので見たい。

 

・転生悪女の黒歴史

 これも1話が好感触だったものの...。

 

 その他、吸血鬼ちゃんやアルマちゃんも好評だったので後で見るリストに保存。これらを全て見られる日か来るのだろうか......。

 

 

・終わりに

 史上最大の見るものがないクールと言われていたがそんなことはなく見たものは全て楽しめたし、相変わらず気になったものでも見切れないほどの異常な本数があった。

 色んな国のアニメがあったり3Dどころかlive2Dのアニメが放送されていたりとアニメの多様性も本数も増え続けている。

2025年夏アニメ雑感

 

 キャプチャ環境が粉々に大破して画像が貼れなくなってしまい、文字だけの味気のない感想記事になってしまった。今シーズンとしては元々質の良い原作のアニメ化が多かったので安定して楽しめるアニメが多かったね。

 

 感想順はめちゃくちゃです。

 

 

・わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)

 諸々全て素晴らしかったが、やはりこのアニメで特筆すべきはアニメーションの緩急だろう。多種多様なSDの使い方をしながらギャグシーンはコミカルに可愛く。シリアスなシーンでは幻想的な演出を。話は真面目だが作品に通底する空気感はずっとコミカルで、シリアスシーンでもコメディが多く挟まる。そこの切り替えが演技、画面共にメリハリがあり完璧で「これが日本のアニメノチカラだ!!!」といった風格さえ帯びていた。

 鈍くもないし優しさも持ってる完璧な王塚真唯が悪いことをしたのなら、一度二人で連帯して倒すしかないんだ!という紗月の話もとてもよかった。

 そして更に光っていたのは紫陽花さん編で、天使のようなキャラクターにはギャップが...というような安易なモチーフに頼らず、心の底から優しい人が陥りがちな非常に小さな内省的な問題にクローズアップして話を成立させたのも凄かったね。

 

 

・タコピーの原罪

 漫画の時からずっと思ってたんだけど凄惨ないじめを描写するのに、いじめっ子のまりなちゃんが萌え萌えすぎるのでいまいち没入し切れない。まりなちゃんも救済する話だから仕方ないのかもしれないが。

 

 

・フードコートで、また明日。

 流石に会話一本でやってるだけあって会話がめちゃくちゃ面白い。現代人の小賢しい部分と愚かな部分をちょっとだけ誇張した和田のキャラクター性があまりにもよく出来てるし、これを完璧に表現した宮崎ヒヨリさんも凄い。

 タコピーにしろこれにしろ6話構成のアニメは感想を書く頃にはほぼ内容を忘れてしまう。このアニメはかなり好きだったのでもっと書きたいことがあったはずなのだが...。

 

 

・ブスに花束を

 まあめちゃくちゃ普通のラブコメなんだけど、今までその普通さに与れなかったブス(酷い言葉だけどタイトルなので...)がやるからこそ普通という部分に意味があるんだろう。最終話の「どこにでもある恋の話」というのがそれを象徴している。

 8話の上野くんの弟と買い物に行く回が良かった。自己肯定感の無さから常に誰にでも卑屈な態度の田端が、大きく年の離れたつっけんどんな子供の上野くんの弟とだけは対等にコミュニケーションを行えてて、何かとても人間性を感じた...。

 

 

 それにしてもクラスの立ち位置が低い/浮きがちな属性の人が、一見排他的に見える周りのキラキラした人たちが実は良い人で周りに馴染んで行き...って漫画アニメ多すぎでは。桐島とかはまちとか友崎くん辺りの反動なのか...?そういう自分もこういうの好きなんだけどね...。

 

 

・薫る花は凛と咲く

 極めて瑞々しい、まるでくずきりの喉越しのようなアニメだった...。

 本当に普通のことしか起きない、キャラや画面の良さのパワーで押し切るアニメだったけど、昴関連のストーリーだけは異様に切れ味があって面白かった。 

 

 昴は和栗さんのことを思ってりんたろーに「もう近づかないでくれ」と懇願するんだけど、すぐに自分の行動に自身が持てなくなり「そもそも自分のしたことは正しいのか」と思い悩んでしまい、遂には「これが薫子に伝わってしまってないか。もしそうなら嫌われないか」とどんどん悪い方向に思考を巡らせてしまい、懊悩煩悶に陥る。しかもこの行動はメタ的に物語を見た場合にも、ストーリーラインにも2人の関係にも何の影響も与えておらず本当にただの空回りなのが虚しく、より昴の後悔にリアリティを与えていた。

 この相手の為だったはずの思い切った行動が、実はただの自己満足だったのか自分でもわからなくなるというぐにゃぐにゃの感覚が非常によく描けていて、視聴者としても身に覚えがありすぎて心が苦しくなっちゃうよ...。昴は友達といる時の一挙手一投足も完全に我々の"それ"であまりに愛おしい...。

 

 

・転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます

 1期で話題になったアクションも良いし、とにかくかっこいいシーンを作るのが上手い。作画もさることながら、主人公に救われた人たちにもしっかりと見せ場がありストーリーがあったけえ...。

 

 随所に少年ジャンプ作品のパロディや、パロディを越えた「構成がほぼジャンプ漫画じゃん」という部分が多々あり作者のジャンプ愛を感じる。

 

 

・帝乃三姉妹は案外、チョロい。

 古典ラブコメの荒唐無稽さは継承しつつも、例えば優ニコvsハヤト先輩での地に足のついた決着などには説得力があり、かなりバランスの取れた優れたラブコメだった。

 「日本の食卓を、取り戻す。」というテーマがとにかく切実で、みんな幸せになってくれ...という気持ち。

 

 あまり関係ないけど最近の少年サンデーは粒ぞろいでアニメ化にもかなり力を入れており、一連のこの企画が無風ならもうダメだ...という感じなので頑張ってもらいたい。

 

カッコウの許婚

 ヒロイン3人は主人公・凪のことが好き(気になっている)が、それぞれ許婚や家族であること等、自由なはずの恋愛を運命に縛られている。

 2期では新たなヒロインである望月あいが現れるが、あいはこの状況を一瞬で見抜き「4人は深い運命の沼に沈み、みんなで必死にもがいている状況だ」と喝破してみせた。彼女がこれを見抜けたのも当然である。他の3人は家の問題(運命)に縛られているのに対して、彼女は13歳で大学を卒業し既に歌手として自立し生計を立てているのだ。

 これは現代のラブコメにおいて非常に重要な視点だ。単に誰と誰が結ばれるかのヒロインレースだけではなく、ヒロイン1人1人の実存の問題を扱っているのだ。だからこそ恋愛を戦争や競争にせず、手を繋いで運命や世の中と向き合う必要がある。

 

 この作品はありがちな古めかしいおバカラブコメだが、そういった大きな運命の中でケアしあうキャラたちが尊い傑作でもあった。

 

 

・その着せ替え人形は恋をする

 最終話めちゃくちゃ良かったね...。不穏な人間関係を匂わせた要素をバカみたいに回収するやり方も、暗くなりすぎないちょっといい感じの話も作風に合ってて最高だった。話数単位で選ぶなら1番くらいに好みだったかも。

 

 画面もかなり良く、しつこい演出が一部不評だったみたいだけどまあ今のオタクメインストリームのノリってあんな感じだし、コスプレがテーマの作品に合ってる気がしないでもない。

 

 シリアスな恋愛部分への導入も凄く良かった。この作品って(特に一期は)ラブコメというよりはほぼ趣味ものの日常系みたいな作風なんだけど、だからこそそこに恋愛感情が入って壊れてしまうかもしれないとなるとその喪失はより大きい。だから親密な関係の中に恋愛感情があるのかどうか確認するのが怖い。という展開に説得力があって、凄い構成だなーと思った。五条くんとおじいちゃんが楽しそうに話していて、そこにマリンもいる、という状況をマリン視点で映すというカットがあり、余りにも「壊したくない日常」過ぎて泣いちゃうよ...。

 

 まあそれ以前に、身も蓋もない話だけどキラキラしたクラスメイトやコスプレお姉さんと仲を深めて行く話が魅力的じゃないわけがないよね...。キャラクターデザインが天才的すぎる。

 

 

・Turkey!

 深夜アニメ特有のトンチキな見てくれや設定と真剣さが調和した名作にはExtremeHeartsがあるけど、これはやってることがかなり重いので上手く説得力を持たせられなかったな...という印象。随所に光るものは沢山あったんだけどね。

 

 スポーツを戦争の代替手段にする、というのも非常に優れたモチーフだと思ったけど、やはり起きてることの切迫感とやってることの釣り合いが取れていなかったので、説得力を持たせるためには敵地にもボーリングを普及させる回などがあっても良かったのではないだろうか。まあ尺の足りなさとか、制作の要求に対しての現場の苦悩はかなり伝わって来たから多くは求めるのは酷かもしれない。

 

・CITY THE ANIMATION

 撮影効果などをほぼ使っておらず原色のまでありのままの温かみを...ということなんだろうけど、流石にあざとい。Twitterでよく見かける、女子学生3人が踏み切りの前で変なポーズを取ってる写真のファンアートくらいあざとい。

 

・宇宙人ムーム

 1期OPの似ても似つかない人たちが一緒に歩いてるカットが大好きで、最終回にもそういうカットが多々あり(ムームーをキャッチする所とか作戦に向けて踏み出す所とか)こういう坩堝的なわちゃわちゃ感がムームーの良さなんだよな...。

 家電とハチャメチャな猫(猫ではない)を軸にしたコメディも面白いし2クールでも飽きずに楽しめた。

 

 

・よふかしのうた

 夜に生きる、自由に見える人たちの"したい"生き方を見た後、見せるつもりがなかった生き方も見るっていう構成があまりにビルドゥングスロマン過ぎて...。自由にかっこよく飄々と夜に生きてる奴らも薄皮を剥ぐと取り繕ってるだけという事実があまりにも虚しい。


 普通の会話シーンでもカット数が多くてショットが目まぐるしく変わったり常に不気味な雰囲気で、フォーマルな演出はこの作品に本当に映えている。


 最終話の、探偵さんを起こさないようにヤモリくんが扉を締めるシーンがあったかくて、本当はこういう愛を求めてたんやなって...。ここは原作とほぼ同じシーンなのにヤモリくんが扉を閉めるカットだけが追加されていて、センスがありすぎる。

 

 

・うたごえはミルフィー

 世の中の時間を止められるのってとてつもない力を持った人か、完全に降りた人だけなんだよね。普通の人はそれは出来ない。じゃあどうするかって、みんなで手を繋いで思い出話しをすることで抗うしかいないんだよ。そう、時間が止まってしまった私みたいな人間としてもな...。

 これから全く別の道を歩むはずの人間が同じ場所に押し込められて同じことをさせるのが学校とか部活であり、そういうのが奇跡的に綺麗に重なるのがミルフィーユなんだよ!みたいな結末もめっちゃ良くて...。

 

 ずっと放置されててポシャる寸前の企画っぽかったので世に出てきてくれたことに感謝...。キャラもギャグも話も全部良いアニメだったね。

 

 

・サイレント・ウィッチ

 極度の人見知りのモニカに優しくしてくれる友人たちとの関係を深めて行くという心温まるストーリーラインには、七賢人という立場がモニカと友人を引き裂く悲劇が対置される。

 モニカは絶大的な実力を持っているから自分が何をされても些細なことなので相手を許せてしまうし、孤独だった経験から友人"だった"者を見捨てることは出来ない。しかし自分には公的な立場があるから許すことも出来ない。この嗜虐的なバランスがさ...。正直アニメ部分はテーマが前景化する前に終わってしまった印象。

 

 繊細な色彩設計や撮影処理も作風に合ってて凄い良かったね。

 

 

・公女殿下の家庭教師

 家庭教師─生徒─親族─友人みたいな内輪コミュニティで話が成立していて凄い。ストーリーも面白かった。

 

 名家なのに娘が魔術の才能がない家が出てきて、こういう場合って大抵親がクズだったりするのに父親が「もう頑張らなくていい。こうなったら我が家も新しい形を模索するしかない...」って悩んでて、なんかほんわかした感じで良かったね。まあそれでも行けるとこまで頑張ってみたいんや!ってなってちゃんとん努力が報われる作風で、良いアニメでしたね。

 

 

・水属性の魔法使い

 これもいい感じのコミュニティの話で面白かったね。話が動くのもまだまだこれからといったところ。

 

 

・瑠璃の宝石

 撮影とか背景が凄い。この作品は特別凄いけどここ数年のアニメは本当にそこら辺が凄い。序盤はストーリーも会話もあんまりにも教材アニメ過ぎる...って感じだったけど瀬戸さんが入ってからはそこら辺も良かったね。

 

 

・ばっどがーる

 概ね良かったんだけど、急に美少女キャラクターから肉丸先生が飛び出して教養ギャグみたいなのを言い始めるのはやめてほしい。

 

 

・ゲーセン少女と異文化交流

 「娘との交際を許さない屈強な父親」みたいなテンプレキャラが出てくるのに「女子中学生と男子大学生の恋愛ってどうなのよ」という部分だけ綺麗にスポイルされてて迫力がある。

 

 私はかりんちゃんが1番好きでした。

 

 

Summer Pockets

 美少女はそうまでして、まだ未来へ進まなければならないのか...。

 

 

・ウィッチウォッチ

 相変わらずギャグは抜群に面白いし声や動きがつくことで凄く良くなってるんだけど、所々演出がダサくて映像的には中々残念だった。

 

 

・ぷにるはかわいいスライム

 コロコロ的コメディを中心に据えつつ、2クール目は人間とホビーの実存の問題というあまりに重厚なテーマを扱っていた。

 

 ホビーには性愛も成長もないので人間とずっと一緒にいられるわけではない。しかし人間はヒトであろうがモノであろうが個体認識をするものだし、特別なヒト(モノ)との個別的な経験は代替不可能性をもたらしてくれる。

 逆に完璧に近い擬態をし自分を人間として愛してくれとコタローにアプローチをするジュレは、「お前は現実のコタローとは違った理想のコタローを投影して、お人形遊びをしているだけだ」と喝破される。ぷにるの言うように、人間同士でも一方が人間扱いされないこともあるのだ。

 

 しかしまあこんなテーマなんてわからなくても、友達と遊ぶのは楽しいし諍いがあってもやっていけるよということはありありと伝わってくる。子供向け夕方アニメながらも演出も日和ることなく恐ろしかったり、美しかったりして文句無しの素晴らしいアニメ化だった。

 

 

 

・ワンピース エッグヘッド編

 前回の記事で書き忘れた。休止期間を挟んだ深夜移動+人気のくま編ということでとても期待していたが、「漫画の1話=アニメの1話」という異常テンポは何の変化もなく全てがスローモーションに見えた。いい加減東映は視聴者を舐めた作りをやめろ。

 

 まあでもくまの過去編だけはスローなテンポと合っていて、加筆部分も良くかなり楽しめた。

 

 

 

・まとめ

 良く出来た原作をハイクオリティで作ったら面白かったみたいなシーズンだったね。今シーズンのなろうは自分が見ていないのも面白そうなのが多くて見ていればよかったと後悔。

2025年春アニメ感想

 

 

 生活が徐々に上向きになりアニメもより面白く見れている。楽しく見ていた田舎剣聖おっさんと完璧聖女がまさかの独占配信で一週見逃しただけで見れなくなってしまったことだけ心残りだった。dアニメ契約者が1番見そうなアニメなのに...dアニメの怠慢を許すな。

 

 

以下感想

 

 

・機動戦士Gundam GQuuuuuuX

 劇場に見に行った時はかなり興奮したんだけど暫く同じ話を(なんなら少しカットされてた気がする)見せられるうちに段々トーンダウンしていき、話はどんどんめちゃくちゃになり最後には興味が薄くなってしまった。

 

 設定はだいたい最終回付近になってからペラペラ口で説明しだすし「え、シャリアってシャアを殺す気だったの!?」とか「いつの間にニャアンはシュウちゃん好きになってたの!?」とか全てに積み重ねがなく唐突で、どういう風に見たらいいのか全然わからない...。

 

 まあでもやはり1番は「日常に退屈してた現代っ子が難民の少女と出会い、果てには政略に巻き込まれて行き...」っていう面白そうな2つの軸が全然上手く交わらなかったところがガッカリだ。シイコさん回のような、マチュが色んな考えの人や出来事にあって自己統治をしていく...ってのを期待してたんだけど途中からほぼほぼ政略がメインになってしまっていてなんだかなあといった感じ。

 

 

・ある魔女が死ぬまで

 最初に未熟な自分の力じゃどうしようもないって話をやって、そこから色々なものを救える力をつけていき最後は自分のルーツを辿る旅に出る...って構成が凄く良かった。自己決定の物語なんだよね。

 

 作画も低コストながら悪いとも思わなかったんだけど、全体的に世界観の表現が陳腐だったのはちょっと寂しかったね。2期無さそうだしネットで続きを読むことを視野に入れるくらいにはハマった。

 

 

ボールパークでつかまえて!

 ファイルーズ・ギャルさんがとにかく可愛い。

 

  色んな想いを抱えた色んな種類の人が球場という場を介して繋がっていくという構造が面白かった。中々おっさん臭い作風なんだけどそういうのも味があって良かったね。

 

 

・ロックは淑女の嗜みでして

 お嬢様に汚い言葉を吐かせれば面白いやろという安直なノリが流石にキツく感じたけど、もしかしたらカーディBみたいなことなのかもしれない...。ロックかくあるべしみたいな話もなんだかなぁといった感じ。

 

 しかし作画はずっとハイクオリティで、あのノリを全力で表現したアニメスタッフに脱帽。

 

 

・男女の友情は成立する? (いや、 しないっ!!)

 男女間の友情やアセクシャルの話をするのかと思ったら序盤で投げ捨てて面をくらい、それ以降はちょっと無理のある展開じゃないか...というのが多く、面白いんだけどモヤモヤするアニメだった。

 

 "大人"らしく全て見通してますよ〜みたいな大人たちが高校生を手のひらの上で転がしながら良い大人ですよ〜みたいな顔でいるのが嫌だったんだけど、多分子供の無力さがテーマっぽいし最後他人の力で解決したのも主人公たちが自分の力で自立するまでの話ではあるんだろうね。「何か1つしか選べないなら未来を選ぶのが正しいんだ」といった当たり前のような価値観を叙述したモノローグから一転、「それでも俺は全部を手に入れるんだ!」という結末になったのが凄く刺さった。原作で続きを読む。

 

 あと地味に劇伴がよかった。

 

 

・紫雲寺家の子供たち

 あらゆる手癖が宮島先生のそれで、かのかりは好きだったけど流石にもうお腹いっぱいだ...。


 7、8話の話がだいぶ酷く、思い詰めた3女が失踪してどうやら富士山にいるという回での「富士山に...まさか樹海〜!?」という周りの反応やそれを心配する長女がテンプレ的な心配性の姉という風に演出されていたり、「ここふざけるシーンなの...?」という部分が全てコメディチックに描写されていて、生放送で空気を読まずふざけ倒す太田光関根勤が言ったという「君は全部間違ってる」という言葉を思い出してしまうような回だった。


 動画工房、最近のあんたどうしちまったんだよ...。

 

 

・〈小市民〉シリーズ

 小佐内さんの天才的キャラクターデザイン以外のこのアニメの映像がよくわからなかったんだけど、17話と最終話が非常に良く中高生の時に小市民を志してた私も満足だ。

 

 

・俺は星間国家の悪徳領主!

 1話でどうしようこのアニメと思ったけどバカらしさもあり面白かった。血は繋がっててもクソみたいな奴はいて血は繋がってなくとも通じ会えるんだみたいなのもよかったね。

 

 

・mono

 

 序盤で夏休みに入って最終話の手前で夏休みが終わるって構成もさあ、最後に撮ったものを振り返るってやり方もさあ、あまりにも良すぎるよね。さっちゃんが敷島さんの為に映画撮りたいって言うのも、敷島さんがそれならとモキュメンタリー風ドッキリを仕掛けるのも「居場所が出来たんだなあ」っていうのと思いやりが伝わってきてさ...。

 

 映像もずっと凄くて特に8話と11話がお気に入りだった。11話は大半がかき氷を食べるだけのシーンだけど飽きないような工夫があるし、話もよくて強く印象に残る回だった。

 

 ソワネ、IK監督、ありがとう......。

 

 

・日々は過ぎれど飯うまし

 PAオリジナル作品としては異色の日常系なんだけど、随所にPAらしさがあり絶妙なバランスで成り立っていて最高だった。日常系アニメは歯の浮くような甘いやり取りで成り立っていたり(これももうだいぶ古いイメージだが)そこが魅力だったりするんだけど、これはそういった部分が少なく半ナマっぽさがありそれが上手く機能していた。例えばひつじゃんはキャラ造形はテンプレート的な不思議ちゃん的なキャラだが奇行はウケ狙いでやってたりするし、それがスベると気まずさを感じダメージを負ったりもする。人の気持ちにも敏感だし面倒見もいいし礼儀正しく、言うなれば地に足のついた不思議ちゃんだ。それ以外でもいわゆるかなりの陰キャだったが髪を染めて大学デビューした星なななど、日常系ではあまり見なかった現実的なキャラ造形が多い。

 

 自由を謳歌出来る身内サークルの開設や免許を取得し車でドライブに行くなどの大学1年生という、世界が広がる時期を上手く活用しておりその一つ一つが情緒へと繋がっていて、やはり日常系の到達点の一つは非日常が日常になることなんだということを思わせる。

 

 個人的に最高だったのは5話だ。くれあから「子供の頃はよくお母さんと築地に出かけててそれが記憶に残ってるんだよね」という話を聞いたまこは、くれあとおしんこの2人が免許を取ったからドライブに行こうという流れで「築地とかどう?」と提案をする。まこは人見知りで自己主張の苦手な人間なのでこれみよがしに「くれあちゃんの思い出の場所だから!」と伝えることもない。「せっかくだったら喜んでくれたらいいな」となんとなく提案されたもので、そうして築地を満喫している最中にくれあから「もしかして私がこないだ話をしたから築地にしてくれたの?」と恥ずかしそうに問いかけられる。くれあはまことは正反対で、みんなのまとめ役であり誰とでも上手くやって行けそうなコミュニケーション能力を持っている人間だ。正反対とも思える人と人との間に、伝えるのもありがとうと言うのも少し毛恥ずかしい奥ゆかしさと思いやりが共有されている。私も人に気持ちを伝えるのが苦手であり友人間であろうと込み入った話が出来なくて、そういった人間からするとこういう控えめな連帯はある種の理想形に見えて心に来る...。

 

 日常系の中にささやかな人間性が入ってるというのが自分の好みで、間違いなくオールタイムベストに入るアニメだった。

 

 

・ざつ旅-That's Journey-

 雑さが一般人のそれというよりテレビ企画っぽい雑さだった。アニメはざつでいい、ざつがいい。

 

 

・アポカリプスホテル

 竹本泉の世界がハイクオリティで動いてるだけでかなり満足だったが、それを補うくらい本編も良かった。全てを受け入れもてなす場所としてホテルが機能してて、文化や価値観が違ってもいいじゃんという所を機転にコメディが展開されてくのも面白かったね。このアニメの中核であるたぬき星人のエピソードがホームビデオ的なのもかなり異質だった。ただギャグのノリが合わない部分が多かったけど...。

 

 

・忍者と殺し屋のふたりぐらし

 最初は主人公がかなり冷酷でバンバン人は殺すし周りの人にすら手を出してしまいそうな空気があり、まあタイトル通り人と暮らして色んな出来事を経験するうちに人間らしくなってさとこやマリンにも徐々に優しくなって行くんだけど、それでも関係の外の人間はまるで人ではないかのように殺し続けるギャップが嫌なヤンキーの世界観みたいで......。

 

 小気味のいいやり取りとかシャフトだなあってなる演出とかはよかった気がする。

 

 

Summer Pockets

 かなり面白い。原作やりたい。

 

 

・宇宙人ムーム

 天空橋鮫洲さんという両極端に偏見に満ちたキャラクターはともすれば嫌な感じが出てしまいそうだけど、ギリギリの所で魅力的なキャラクターに仕上がっている。一見交わらなさそうな人たちが楽しそうに一緒に歩いてるOPが凄く良くて、アニメ内容もそのままの感じで楽しい。

 

 全く知らない原作でここまで力入ってるのが謎なんだけど、2クール目も楽しみだ。

 

 

ウマ娘 シンデレラグレイ

 レースがウマ娘アニメの中でもトップクラスに迫力があってよかった。キャラデザがゲームとも原作ともちょっと違うんだけどめちゃくちゃ可愛いね...。

 

 

・ウィッチウォッチ

 本編よりもOPの方が全然気合が入ってそうで集英社は嫌な方法論を身につけたな...といった感じ。ちゃんと声に出して笑えるしギャグアニメとして面白かったね。

 

 

・ショートムービー『リコリス・リコイル』Friends are thieves of time.

 自然な芝居に力が入ってそうだった。多分アドリブも多そう。

 

 

・前橋ウィッチーズ

 アニメでは中々見ない題材を扱っててそれも良いんだけど、単純に人間ドラマとしてめちゃくちゃ面白く夢中になってしまった。

 

 しかし1つだけ、ラスボスの解決方法だけ釈然としなかった。「やりたいことのある子に魔法を使って少しだけ背中を押す」ことをしてきた主人公たちに「背中だけ押されても、応援だけされてもどうにもならなかったんだよ!」と闇堕ちしてしまった子が現れて、これはかなり鋭い問いかけだったのだが、結局主人公の善良さに説得されて改心するという予定調和に落ち着いたのだけ少し残念だった。

 

 まあそれでも傑作には変わりなく、自分の中で永遠に記憶に残るアニメになった。

 

 

・LAZARUS ラザロ

 設定への細かいツッコミは置いておくにしても、問題の中核であるスキナーの話をするのは最終話の後半だけなのに終盤に謎のぽっと出暗殺者とずっと戦うという異常構成は流石にどうにかならなかったのだろうか。


 尺を持て余していたようだしラザロのメンバーは魅力的だったので『LAZARUS〜Friends are thieves of time.〜』みたいな日常回がもっとあったほうがよかったのではないだろうか。

 

 

 

・終わりに

 やはり『日々飯』『mono』『前橋ウィッチーズ』の3本が強く印象に残った。異世界なろう系の楽しみ方がわかってきたのでそっちも見て行きたいのだが、どうやら長かったブームにも陰りが見えつつあるようだ。自分は見ていなかったが中国制作のアニメも3本もあり深夜アニメでも違った楽しみがどんどんと出てきそうで期待したい。

2025年冬アニメ5選!

 

 「今季はアニメ沢山見たしどれも面白かったな...!」という満足感があったが振り返ってみると6作品しか見てなかった。1つはスキローの再放送なので5選です。

 

以下感想

 

 

・空色ユーティリティ

 緩い作画、淡い色彩などの作品が纏う雰囲気がブルーアーカイブThe animationじゃん...と思ってたけどスタッフが丸っきり別だった。


 オタク社会では「趣味は人生にかかせないものでコミュニケーションの手段にするなど言語道断!」ともなりがちだが、このアニメは逆で趣味で繋がるコミュニティを素晴らしいものとして描いているし、9話では「必然性はなく必須でもないけどあったら嬉しい」程度の距離感で趣味と向き合っていた。


 10〜11話で登場したひなぴよは勝利至上主義を掲げ、実力があるのに趣味に甘んじている遥さんを軽蔑している。ひなぴよは遥さん達とゴルフをすることでコミュニケーションとしての趣味に魅力を見出すが、このアニメで重要な部分は彼女の元の勝利に対する姿勢は窘められることなく温存されるところだ。更に遥さんは来年プロテストを受ける気があるということが軽く明かされる。趣味に対する姿勢というのは重かろうと軽かろうと、人それぞれあっていいのだ。


 それぞれが別の場所で1人でゴルフを楽しんでるけどやっぱり友達もいなきゃねという最終回はこの作品を象徴していた。崩す部分は崩すけど破綻はしない高クオリティな作画も作品にマッチしており最高のアニメーションだった。

 

 回を重ねて主人公が周りの環境に馴染むごとに表情がコロコロ変わるようになり、その周りの目を気にしないようなはしゃいだ振る舞いに、涙...。

 

 

・沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる

 今季の癒やし枠その2。2025年冬アニメOP部門金賞、ED部門金賞、ヒロイン部門金賞の三冠アニメ。


 同じ癒やし枠でも空色ユーティリティとは打って変わって濃い塗りの作画で、沖縄の空気とマッチしていて非常によかった。

 

 

・花は咲く、修羅の如く

 むっしゅ先生の天才的なキャラクターデザインと画風が忠実に再現されていて良かった。原作では整井さんと箱山くんの話が一番好きだったからアニメでは入りきらなくて残念だったね...。

 

 

BanG Dream! Ave Mujica

 MyGoの繊細で綿密なところが好きだったからそれに比べると人間関係のエラー等の解決の仕方がかなりパワフルで「普通のアニメだな〜」と思って見ていたけどまあ全体では面白かったような気がする。アトラクションみたいなアニメだったね。


 運命の糸に縛られた状態から自由になるためには仮面を剥ぎ取ってがむしゃらに進むしかない。迷子でもいい。前へ進め!なんだよな...。

 

 

・メダリスト

 随分期待されていたみたいだけどそれに見合うくらいちゃんとしたアニメだった。王道スポーツものだから面白い!という声をよく聞いていたけど、いのりさんも司先生もコンプレックスを抱えておりそれをスポーツで自己陶冶して行く...というのはかなり現代的な手つきに感じた。かけるのは青春じゃなくて実存って今っぽいよなあ。

 

 終盤で理凰くんが往年のセカイ系みたいな無力感を出してくるエピソードが好みすぎて俄然続きが読みたくなった。

 

 

 

・終わりに

 クラ婚、100カノが良さそうだったので後で見る枠に保存。プリチャン等の継続枠の視聴が止まってしまっているので再開したい。春アニメはもっと沢山見る予定。

機動戦士Gundam GQuuuuuuX/Beginningを見てきたよ

 

 

 令和の時代にこんなおじいちゃん達のアニメを...と余り期待はしてなかったんだけど超面白かった。Beginningを見たときは「うわぁ、ガンダムオタクの妄想だあ」と面を食らってしまったけどジークアクスとそのまま繋がってるのを知った時はかなり驚いたし、むしろ2時間くらい尺を取ってじっくりやってもいいのに......と思った。というかこれがTV版では放送されないらしい?のはかなり問題が起きそうだ。


 正史を途中で描き直してしまうという激ヤバ判断(今までの宇宙世紀ifって年表の隙間を埋めるか第二次ネオジオン抗争後だけだった気がする)をしてまで描きたいことは何なのかというのは非常に気になる。しかし消えたシャア、時の流れが云々という話から"やり直し"ではなくジークアクス内でパラレルワールドとして繋がってるという話も出てきているらしく実際説得力もある。

 

 現代日本っぽいサイド6を舞台にして戦後と難民の話を展開するのだろうからかなり踏み込んだ内容になりそうで、しかもそこにニュータイプやオカルト、シャアや魔女(!?)の話を混ぜるのだから「いったいどうなっちゃうの〜〜〜」という感じ。アムロララァに出会ってないシャアをどう動かすのかというのも気になり、綺麗にまとまるのかはわからないがとにかくワクワクする作品だ。

 

 

 後メインキャラたちがみんな魅力的で、それだけで視聴意欲が爆上がりしちゃうね......。

 

小さな冒険者

 

 元々紫咲シオンを見始めたのは見やすい時間帯に私好みのゲームを配信していたからだったと思う。当時のVTuberはみんな夜に活動していたけど、初期の彼女は昼から夕方くらいの配信が多かった。

 

 ここでもほぼ同じ話をしたけど2期生が出揃って数ヶ月経ったくらいからのホロライブは本当に楽しそうで、私がどっぷりハマったのはやはりそういう部分が大きい。その中でも彼女は楽しそうによく笑いながら話をしていてとても魅力的に感じた。

 

 そうしていわゆる"中の人"の配信も追い始めたのだが、そこで目にした彼女は私の見えてたものとは裏腹に、とてもホロライブでの活動を楽しんでるようには見えなかった。活動での人間関係の怨嗟、人生に対して虚無感に溢れた語りは"紫咲シオン"とのギャップが激しく当惑したが、実存に当面してる姿とその不安定さに惹かれ目が離せなくなった。*1

 

 しかし少し経つと本人にとって楽しいことも続いたように見えた。徐々にホロライブメンバー全体での距離が縮まり遊びに行くことも増え、また新しく入ってきた猫又おかゆとは"お互い泣きながら深い話をしたり"と深い仲になったようだった。3D化を発表する時の雑談では「メンバーみんなに3D化楽しみにしてるとか言われるのが嬉しくて泣きそう」と言い、「空気の良い朝に散歩してたら犬の散歩してるおじさんに挨拶されて感動して心が清くなった」と話す彼女は気持ちが晴々としているようで、ちゃんとホロライブから良い影響も受け始めたように思えた。

 

 そこからは仲の良い人も増え、活動休止を繰り返しながらもある程度安定した活動が続いていた。ある時同僚の大空スバルが精神面の理由でダウンし、夜なのに直接家に励ましに行った時は「いつの間にか友達を励ます立場になったんだな......」とデビュー初期のことを思い出しえも言えぬ気持ちになったことを今でも覚えている。

 

 辛いことの多い活動だっただろうけど、悪いことばかりでもなかったと信じたい。

 

 

 

 感傷に浸る追悼記事ばかり連発するのはなんだかな〜と思いつつ、そんなことばかり続いてしまう。それにしても湊あくあが引退したのすらつい最近に感じるのに、紫咲シオンまでいなくなってしまうとは......。

 

 

 

 

*1:その配信ではBGMとしてずっと「小さな冒険者」が流れていて、まるで本人のことを歌っているようだった。それが強く印象に残っている。